デイドリーム ビリーバー
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結婚式の招待状が舞い込んだ。 卒業以来、一度も顔をあわせていない先輩から。
学生時代の私にとって、 一番優しくて、一番頼りになって、一番仲の良かった先輩。 つっぱってばかりの私に 「たまには誰かに甘えろ」って言ってくれた。
「お前にはいつか、すごくいい人が絶対に現れるから」 なぜか、それが口癖で 私は彼がちょっと好きだったけど、決して恋人にはなってくれなかった。
…結婚するんだぁ。
ふーん。
お幸せにね。
…なーんてつぶやきながらも なんだか、心にぽっかりと穴があいたみたい。
もちろん、卒業してからもずっと想っていたわけじゃない。 ていうか、ちょっと好きかもって思ったのも最初の頃だけで、 迷惑かけたり、相談にのったりのってもらったりしているうちに 「お兄ちゃん」みたいな存在になっていて。
先輩が、当時つきあってた人と別れた時も 何かしようとか思わなかったし
その後、今回奥さんになる人とつきあいだしたときも これもまだ学生の頃だったけど、なんとも思わなかったし。 (すでに疎遠になっていたとも言うけど)
今日はそのせいで、電車に乗っている人、コンビニの店員、 ベンチに座っている人、街を歩く人の 「結婚指輪」が気になる気になる(とほほ)
こんなガラの悪い人も、しょぼくれた人も 結婚してんのかー。
別に、結婚がしたいわけじゃないけど 世の中の人たちってすごいなー。 恋愛して、いろんなことを乗り越えて結婚して、子を産み育て。
私にもできるんだろうか。 …ってか、ほんとに私には、先輩の言うように 「すごくいい人が絶対」現れるんだろうか?
合コンだってハズレばっかりだし 出会いもないわけじゃないけど、いまいちピンと来ない。
だってもう、適当に、 まあコレでいっかーみたいな人と、付き合いたくないんだもん。
「あーもー大好きー!」 って心から思える人と、めくるめく恋ならしてみたいけど(笑)
最近「トキメキ」ってやつが遠ざかっている気がする。 最後にときめいたのっていつだっけ? もう一生なかったりして。ぞぞぞ。
ああ日本は湿気だらけだっていうのに 私の心はカラカラ。
…ま、いーか。
いまはまだ、砂漠みたいな世界を一人で歩いていて 一滴の水に癒されるような生活も 悪くはないって思えるし。
今日は、家に入る前、ふと見上げた空がものすごくきれいで そんなことで、この世界は生きる価値がある、なんて思えたしな。
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