妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2005年07月30日(土) |
『リヴィエラを撃て 上』(小) |
【高村薫 新潮社文庫】
昨年末から読み始め、ようやく読み終わりました。 上巻が。 ですので、前半の細かい記憶が遠くなっています。 下巻はするすると読もうと思っております。
高村処女作です。 デビュー作は黄金を抱いて〜ですけれど、書いたのはこちらが先だったと記憶している。 ストーリー的なことは、正直あまり理解していないです。 えーと、リヴィエラって誰なんだ?という話?? キャラクターの名前もいまいち把握できておらず。 けれども、高村要素が凝縮された一作という印象を受けます。 そして、女性陣が存在感を出していて意外というか、初期の頃は女性も書いていたんだなぁと。 苦心しているような雰囲気はなきにしもあらずですが、強くて美しくて、儚いです。
男性陣は、相変わらずの歪みっぷりというか、壊れっぷり。 噂の、ダーラム候と美貌のピアニストは、高村キャラの中でも群を抜いた存在感を感じます。 存在感というか、突き抜けてるなぁというか・・・。 片方だけでも十分なのに、二人セットにしてくる女史に完敗。
先日のIRA武装闘争終結宣言、これを読んでいなかったら聞き流していただろうなぁ。
【紺野キタ 大洋図書CRAFTCOMICS】
初めて読みます。 ボーイズラブなのですが、あ、あまずっぱー・・・。 もう、なんか、なんか、照れちゃうよ! 少年少女(←ミソ)が可愛い、短編集。
ボーイズラブだといわれなければ、わからないような、仄かというか淡いというかな、表題作シリーズ。 この子らは、大人になったら普通に女の人と付き合って、ふと子どもの頃の田園風景とか思い出しつつ、甘酸っぱい気持になってそうだな。
長野まゆみっぽいような気がしていたのだけれど、フェティッシュな感じはあまりしなくて、どちらかと言えば淡々とした作風でした。 少年愛が苦手だから紺野さんの方が私には合う。 ただ、やっぱり照れる・・・。 この人のは、普通の少年少女の話を読んだ方が良いような気がする。
2005年07月28日(木) |
『皇帝ペンギン』(映) |
【監督:リュック・ジャッケ フランス】
そう言えば、ドキュメンタリー映画を観に行くのは初めてです。 ポスターの皇帝ペンギンの雛の可愛さにいてもたってもいられなくなり、観に行きました。 今になってよく振り返ると、私の色々とメモしているノートの表紙、皇帝ペンギンの雛でした。
雛が可愛いのはもう、そうなのですが、それ以上に皇帝ペンギンの苛酷な子育て感動せずにはいられません。 本当は感動と言う言葉はあまり使いたくなかったんだけれど、他に語彙が見当たらない。 せっかく産んだ卵が転がって、あっという間に凍り付いてひび割れたシーンには胸締め付けられます。
それにしても、あんなに怖いアザラシの映像は初めて見た。 だけど、あのアザラシだって南極の苛酷な環境で子どもを育てているんだろうなぁ。 オオフルマカモメに雛が襲われている所で、感情移入しすぎな女性客が何かキャアキャア言っていたけれど、あのカモメだって実は、絶滅危惧種。 捕食者に食べられるのを見る分には、あまり心痛まないのですが、ブリザードの中、力尽きていく父親ペンギンや雛を見るとたまらない気持ちになります。
そんな苛酷な季節が過ぎて、夏が来て、雛たちが泳ぎ始めるのを見ると本当に嬉しくなります。 ペンギン、愛しいなぁ。 あの雛溜まり(雛が身を寄せ集めてるところ)なんて、もふもふしてる。
2005年07月21日(木) |
『姑獲鳥の夏』(映) |
【監督:実相寺昭雄 日本】
いやはや、待ってましたの京極堂映画化ですが、案外、観れました。 京極作品は、けっこう映像化に恵まれているやもしれません。 まあ、ただ原作読んでないと、理解しにくいと思います。
冒頭の長台詞なんて、耳で聞くとこんなにも、理解するのに苦労するのかーと新たな発見。 関口君の理解力がないんじゃないんですな。 目で見ると耳で聞くとじゃ、やっぱり理解する速度に違いがあるんだなぁ。 しかし、堤真一はご苦労様です。
シナリオはいいけど、演出がいまいち、好きじゃないです。 実相寺監督は、『帝都物語』やら『ウルトラQ』なんてのを撮ってるせいか、なんだかやたらに特撮映画っぽい演出が目立つ。 姑獲鳥なんか、怪人?てな感じで、もう少し妖しく作って欲しいよ。 全体に色調をもっと抑えて欲しかったなぁ。 京極堂の、初めて袖を通したがごときぱりっとした、和服とか、違和感ありまくりです。白っぽいし。 最後のチカチカする光は、癲癇起こしちゃうよ・・・。目が疲れるし、頭が痛くなる。 演出の全体的安っぽさがなんともマイナスです。 でも、久遠寺病院は良い感じ。
配役は、観る前は、うーん・・・という感じでしたが、そんなに悪くはなかったです。 堤京極堂がかなり好きでした。 態度悪くて、横柄だけど、そんなのもありかなぁと。 原作者本人に向かってセリフ言うの、緊張したんじゃないかなぁ。 永瀬関口の不自然な眩暈の起こし方が、笑えてしょうがない。 阿部榎津は、あまり躁という感じじゃなくって残念だなぁ。
いしだあゆみが、これでもかってほど怖かった・・・・。
眩暈坂がでこぼこすぎて、それは眩暈を起こしているんじゃなくって、足がもつれているんじゃないかと思ってしまう。そこまで、荒れてるのかなぁ。戦後だからって。
しかし特筆すべきは、やはり京極夏彦の演技ですか。 相変わらず上手いです!業界唯一の演技派作家となるつもりでしょうか。 違和感がなさ過ぎて、逆に笑えます。 しかも、水木しげる役!可笑しい可笑しい。 演技が観る度に上達しているように感じます。 いっそ、京極堂役やったらいいのに。
2005年07月19日(火) |
『僕にだって言い分がある』『誰がおまえを好きだと言った』『アイシールド21 14』(漫) |
【山田ユギ 芳文社花音コミックス】
『ピクニック』にこれの番外編が載っていたので、読んでみる。 順序は逆になったけど、まあわかるからいいか。 パワフルなおじいちゃん、おばあちゃんが良いよなー。 ユギさん漫画には、よく両親やら祖父母が出てくるけど、どの人もパワフルかつマイペースで素敵です。 ボーイズラブだということを忘れます。
++++++++ 【山田ユギ 竹書房】
短編集。 全編、スーツ!て感じで、うはうはの一冊。 自分、けっこうスーツフェチだったんだなぁ。それでもって、表題作は、敬語攻! いやぁ、自分そういうの弱かったんだな。 スーツフェチ、敬語フェチ、オヤジ受好きにはたまらん一冊でございます。 こういう微妙なツボを、どぎつすぎずに、押してくれるユギさんは私にとって貴重なボーイズラブ(ほとんどボーイじゃないが)作家であります。
+++++++++ 【原作:稲垣理一郎 漫画:村田雄介 集英社ジャンプコミックス】
ヒル魔が活躍してるー! ひじょうにときめきました。嬉しかったです。 私、ヒル魔が好きなんですよ。 まもりちゃんとのコンビは最高。
【川端康成他 中央公論新社】
クラフト・エヴィング商会プレゼンツ、という作家たちの犬にまつわる随筆集。 クラフト・エヴィングなので装丁がシンプルで可愛い。
時代背景もあるのでしょうが、妙に湿っぽかったり、美談にならず、淡々とどの作家も犬との生活やら、犬への愛情を綴っていて良いです。 川端康成の「愛犬家心得」なんてよいですね。
志賀直哉のクマや、徳川夢声のトム公が特に可愛いわんこでした。 急に志賀直哉への好感度がUP。
犬大好きですけど、最近のペットブームにはついていけない私にはこのくらいの、犬と人間との距離感がよいです。
2005年07月12日(火) |
『girs’s blue』(小) |
【あさのあつこ ポプラ社】
これからの季節にぴったりの一冊。 特に何かが起こるわけでもないけれど、眩しいやら照れくさいやらの高校生たちの話です。 ちょっぴり私は『阿修羅ガール』(舞城王太郎)を思い出しました。
高校生いいなぁ、懐かしいな、なんて言わせないあたりが、あさのあつこだなぁと思う。 いいなぁなんて言ったら、美咲にアッパーを食らいそう。
十七歳のあたしたちに、均等に与えられている今を、愛するのも憎むのも疎むのも受け入れるのも自由だ。−略−わたしは無条件で今のあたしを受け入れ、愛している。
p137より。 そんな、あさのあつこの書く、少女や少年が好きです。
真央くん可愛いなぁ。うちの弟もな・・・と言っても詮無きことですが。
2005年07月11日(月) |
『鍵・瘋癲老人日記』(小) |
【谷崎潤一郎 新潮社文庫】
「鍵」
肉体的に衰えてきつつも観念的な欲求は旺盛な56歳の夫と、貞淑を装いつつも奔放な45歳の妻の日記を交互に並べた構成。 夫と妻と、その娘と、娘の家庭教師で妻の愛人になる男の4人の登場人物が、それぞれの思惑で動いていますが、それぞれがどう考えているのかは最後まで読んでもはっきりとはわかりません。 特に木村と敏子はよくわからない。 それだけに最後の妻の日記が不気味な余韻を残してます。 二つの日記の嘘や策略が絡み合う様は面白い。
「瘋癲老人日記」
しょうがない爺さんだなぁという話。 「鍵」と同じで、爺さんは死ぬんだろうと思っていたら、なんだかんだと元気にやってる。 面白かったのですけど、カタカナで書かれているから読みにくくて仕方ない。
谷崎的フェチズム全開な二作でした。
2005年07月07日(木) |
『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』(映) |
【監督:ブレック・アイズナー アメリカ】
意外なことに面白い。 この一言に尽きる映画でした。 CMのやる気なさに、またインディ・ジョーンズ系のクソ映画かと思っていたのですが、違うじゃん・・・面白いじゃん。
主人公ダーク(マシュー・マコノヒー)は遺跡発掘などを手がける、NUMA(国立海洋調査機関)のエージェント。 まあ、歴史大好きな冒険野郎です。 幻の甲鉄艦を探しているうちに、環境問題やらアフリカ問題やらを微妙にかすめつつ、水上から砂漠までをアクション満載で進んでいきます。
いやぁ、なつーか、普通に面白かったのね。 もっと、ちゃんと宣伝してあげれば良いのに。 これは原作が、人気のシリーズだったらしいですね。 日本でも原作がメジャーだったら、もっとヒットできたんだろうけど。
うん、原作読んでみたい。
ペネロペは相変わらず綺麗です。 役柄にもマッチしてました。 ラクダが可愛い。 あんなに白いラクダっているんだなぁ。
さて、私的に本題。 最大の見所は幼馴染。 幼稚園、大学、軍隊ときて、NUMAまでずっと一緒のダークとアル。 幼馴染過ぎるだろー!! ちくしょー、可愛いぞ、お前ら!! ツーカー過ぎだよ。 困った時とか、ピンチに、「アル!」って呼びすぎだぜ、ダーク。 アルも心得たものです。 ネクタイが結べないアル、ターバンが巻けないアル、可愛い・・・。 だけどほんとは、かっこいいアル。(変な中国人みたいになってる) パンフにも「ダークはアルなしでは生き残れない」って書いてあったけど、ほんとそう。 アル、いいな。好きです。
エンドロール見ながら、「幼馴染万歳!」と心中諸手を挙げておりました。 またキャストも良かったのね。
続編もできたらいいなー。
2005年07月04日(月) |
『DEATHNOTE7』『ONEPIECE38』(漫) |
【漫画:小畑健 原作:大場つぐみ 集英社ジャンプコミックス】
待ったねぇ。 新刊が出るのを。 うっすらと知っていたけれど、この目で見るとなんともかんとも。
あ、ネタバレしてきますよう。
ノートが月の手に戻ってきました。 神、復活の瞬間の顔ったら。 ありえん。あの邪悪さ。
まあ、そんなことは余談なわけで。 Lが、竜崎がー・・・そしてワタリがー。 そうか、レムがやるのか。 レム、そこまでミサのためにしますか。 はぁ、もう脱力することしきりで、あとのことはあまり頭に入っていません。 しかし最期に見たのが、あの月の顔。報われない。報われないよ、竜崎。 死に切れなさ過ぎる。
まあ、竜崎と月の力が拮抗しすぎていて、このままにしとけばマンネリしてくるし、ノートを手にしている月がいつまでも竜崎を殺せないでいるのもおかしな話ですから、展開としての竜崎、ワタリの死は受け入れよう。 気持ちは納得できんが。哀しいよう。 レムと竜崎の束の間ツーショットがなんだか楽しかったです。リュークとの対面も見てみたかったよ。
今回はリュークが戻ってきたのが唯一の楽しみかと。 もうあとは、月が世界征服したらいいじゃない。 そのあげくに、一人で不幸に死んでいけば良いよ。それでいいさ。 粧裕ちゃんは助けてあげて。
++++++++ 【尾田栄一郎 集英社ジャンプコミックス】
そうだったのか、ロビンちゃんの巻。 サンジ兄さん、男前だなぁ。
これも終わりに近づいているのかどうなのかわからない、今日この頃。
2005年07月03日(日) |
『犬ぐらし』『ワイルドアダプター4』(漫) |
【遠藤淑子 白泉社】
遠藤淑子は、その昔私が花とゆめを購読していた頃に、『マダムとミスター』が連載していて、それをちょろちょろと読んでいた以来です。 低めのテンション(佐々木倫子っぽい)と、下手・・・?と言いたくなる絵なんだけど、なんとなく面白いような。 味わいのある、花とゆめでなければ載っていなさそうなタイプの漫画でした。 あの頃はまだ、面白かったな・・・。花ゆめ本誌。
本書は、遠藤淑子とわんこの暮らしを綴ったエッセイコミックです。 生後6ヶ月も過ぎて、まだペットショップのゲージに入っている、ナナっちと運命の出会いをしてしまって以降、天真爛漫な性格に苦労させられる日々が綴られています。 犬を飼ったことがない人、縁がない人が読むと、ナナっちはアホ犬に見えるかもしれませんが、利口な部類に入ると思う。
雪の日の散歩で雪球ができるというあたりで、飼っていた犬のことを思い出したりしつつ、笑いながら読みました。 この本の印税がナナっちのエサ代になるならそれもまた良し。
ところで、最初に「この作品はフィクションです」とあったのですが、エッセイだよね・・・?エッセイ漫画にはこのフレーズ入っていなかったと思うのだけど。『文鳥様と私』とか『絶望に効く薬』には入っていなかったから。 この漫画、フィクションなんでしょうか。
+++++++++ 【峰倉かずや 徳間書店】
マスカット。
いや言ってみたかっただけです。意味はないんですが。鮮やかな緑だなーと。
実に久しぶりで、さっぱり覚えていないんですが、一応一冊一冊区切れているからいいのかな。
時任くんは久保ちゃんが好き?え?そなの? 峰倉はその辺の一線は越えない、ぎりぎりが作風なんだと思い込んでいたので、その線を越えそうな雰囲気に普通にびっくりです。 と思わせといて、やっぱり超えないんだろ?そうなんだろ? と疑ってみる。 どっちがいいかって、やっぱりあやふやな線で踏みとどまってくれるほうが、よいなぁ。 次がいつ出るんだかわからないけど。
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