青春の思ひで。
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ロングスカートを履けば隠れる程度の、お化粧をしたら目立たない程度の傷痕しか残らなかったけれど、今回のことで得たものと失ったものは随分大きいものだと思う。
失ったもののことは考えたくない。 失くしたのは、自分で切り落とすことを決めた髪の毛ぐらいのものだと思いたい。
この1ヵ月半という短い時間の出来事を何度も何度も反芻している。
自分での認識以上にあたしはあのひとたちを、くどいようだけれどあの男のことまで含めて、とてもとても愛していることに気付かされた。 それ以上に、あのひとたちが、あたしを実はちゃんと愛してくれてたんだってことを痛いほど感じさせてもらった。それにあの男が含まれるのかはよくわからないけれど。
Mちゃんに、花見ができなかった嘆きを言えば彼女は「来年見ればいいさ」と言った。 今年よりも来年の方がもっと絶望的なのだけれど、「そうだね」と答えた。 来年がだめなら、再来年見ればいい。 あの街で、あたしたちは一緒に花を愛で酒を嗜む。 それは必然のことのように思う。 別に今年が、来年が、再来年がだめだったからといっても、それだけのこと。 そこで終わりじゃない。
Tが電話をくれた。 「今回のことを知っているのは、身内だと……、学校の事務方関係だと……」と細かく教えてくれた。 たぶん、気にしすぎているあたしに「気にしなくていい」と言ってくれているのだと思う。
Yちゃんがメィルをくれた。 「一緒にお酒が呑める日を胸に明日からのツライ毎日をがんばるよ」って。 あたしもだよ。 「お互い気負わず地道に頑張ろうね」と言ってくれた。 大丈夫。あたしもYちゃんもひとりじゃない。
やっちゃいけないことだと思いながらも一度だけHにメィルをした。 返事はないけれど、思ったよりも落ち込まない。 H、ごめんね。あたしは帰るよ。 あなたが嫌がってもあたしはそこが好きなんだ。 これ以上ないほどあさましくもまだ、あなたのそばにいたいんだ。 あの街で、大好きなひとと手を繋ぎたい。 あたしが手を繋ぐのはあなたじゃないけれど、あなたがいることを含めてあの街で生きていくんだ。
みっともないくらいに、何度も何度も思い出して「愛されてるんだ。必要とされてるんだ。大事にされているんだ」と確認する。 お互いがお互いを縛り合うようにして住み着いているあの街にあたしも縛られたい。 あの街にこだわる最大の理由。 今ようやくはっきりとわかった。
大丈夫。 ほんとはね、失ったものの大きさを思えば、毎日泣くことしかできないよ。 でも、歌ってくれた歌声を思い出すよ。 見せてはくれなかった涙を想像するよ。 大丈夫。泣きながら頑張る。 ずっと一緒にいたいから。
あの部屋で笑うよ。 首に捲いた赤いコードを繋いで、でたらめな音楽を聴きながらからだを揺らすよ。 自分で乗り越えた窓枠から空を見上げることもできる。 一緒にいてくれるから。
明日、帰る。 あの街に。あの日々に。 帰ったら、「ただいま」とだけメィルをしようと思う。 きっと、「おかえり」って言ってくれると確信している。
大丈夫。 失ったものなんてたいしたものじゃない。 日々は、取り戻せるのだ。
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