風も無いのに
ブランコは揺れる
誰も居ない 公園の
ブランコは ゆらり、ゆらり
喉の粘膜を
チリチリと焼かれるような
痛みが近づいてくる
そこは真っ暗 闇のなか。
目を凝らすと
次第に 浮かび上がるのは、コンクリートの天井だ。
「・・・夢?」
悪い 夢を見た
そう、思うのは
首筋を伝う、気味の悪い汗のせいだ。
「このまま生きてたって、いいことなんかないんだ」
こんな時には、決まって、そう、呟こう。
そんなこと、これっぽっちも 思っては いないけれど。
本当は、本当の僕なんて
あの公園で
迎えに来てくれるはずの誰かを
ずっと待っていて、
このまま生きてさえいれば、いつか
あたたかい、優しい はずの手に
抱きしめてもらえると信じていて、
それが最期の望みだ と
決め付けていて、
ひとりでは、とても 生きられない。
誰か、誰か
はやく、僕を・・・
風も無いのに
ブランコは揺れる
誰も居ない 公園の
ひとりぼっちなブランコが
ゆらり、ゆらり、
ゆらり、ゆらり。
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