泡とガラス玉


2009年05月06日(水)      ミズカガミ


白い白い入道雲を
うつす水鏡は
つま先を差し入れても
揺れることなく
ただ透き通る

生きてきた世界を透して
静かにそこに在って
あなたは見渡す

私は空を見上げて
雨の日も
雪の日も
晴れの日も
夜でさえ
見上げれば通じ合う
私から見えなくても
あなたからはいつも見えている

私は信じる

いつか水鏡の世界へ行くまで
決して挫けずに生き続けよう



2009年05月02日(土)      エイエンノモリ


暗い森を抜け出して助かったのに
また振り返って
片足をスと差し込む

思うの
浸るの

戻れるくらいの距離だけ。
迷わない程度に。

臆病な怖がりなの

その男の距離は計り知れない
森は永遠に続く

だから私は
入り口へと戻ってきたの

その後の事は考えなかった
死ぬことくらいしか考えなかった



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