2009年06月23日(火) |
降っていた雨がいつの間にかやみ、南東の空に広がっていた雲がぱっくりと割れる。もれてくる光は雨粒を照らし、きらきらと輝く。 母が大好きな庭仕事がなかなかできなくなってどのくらい経つのだろう。母の庭は今、少し荒れている。 庭は、持ち主の心を映す鏡のようなものだ。 母の庭を眺めながら、今の母の心を思う。
父に作務衣を送った。父の日。 父は私に何も言わない。 私も父に何も聞かない。 電話越し、母が伝えてくる。父さんが作務衣着てたわよ、結構似合ってたわよ。 それでもう十分。だから私は何も聞かない。父も何も言わない。
そんな、 そんな蝶番のような母がいなくなることを考える。 今は覚悟ができない。
娘の大胆な寝姿を眺めながら思う。 顔面を蹴り飛ばされても、何をされても、それでも一緒に寝られるのは幸せなことなのだろう、と。 私は両親と一緒に寝た記憶がほとんどない。物心ついたときには弟がおり、弟が父母の間に寝て、私は一人、違う部屋で寝ていた。
孫が大きくなるまで。 花嫁姿を見るまで。 そんなことを、父母が言う。 かつて私に、今はもう亡き祖母がつぶやくように言っていたのと同じ台詞を、父母が、言う。 私はそんな台詞を、黙って聞いている。 そして、 叶うのならそうなってほしい、と、ただじっと、思う。
零れ出ずる光の、なんと儚きことか。 それでも私はきっと、それを追い求め、やまないのだろう。 |
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