2004年09月16日(木) |
間に合わなくてごめんね。 |
きみがうちに来た日のことを、今でも昨日のことのように思い出せるよ。 あたしは中学1年生で、時期は今と同じ9月だった。 妹たちが隠れて飼っていたきみが保健所送りにされそうになったところを なんの気紛れか、おとうさんが「うちで飼ってもいいよ」と言ってくれて、きみはうちの家族になった。
それからはいろんなことがあったね。
あたしが一番辛い時期、一番近くに居たのはカイ、きみだったよ。 きみの存在にあたしがどれだけ助けられたか、計り知れないほどだったよ。 きみが居なければあたしは立ち直れなかっただろうし、そのまま挫けてしまったかもしれない。 でも、きみが勇気をくれた。笑顔をくれた。優しさをくれた。 だからあたしはドロップアウトすることなく、中学校に戻ることが出来たんだ。
きみは、たくさんの可愛いこどもも見せてくれた。 時には左右の瞳の色が違う珍しい子だったり、両目とも青い子だったり。 その時、その度に「命」の尊さを教えてくれたね。
骨を投げると上手くキャッチして食べる姿。 ブルーの後ろで遠慮がちに「撫でて」と甘える視線。
そのどれもが、すべて、愛しかった。
きみがもう長くはないだろうと、あたしは知っていたよ。 知っていたけど、その現実を認めたくなかった。目を逸らしていた。 だからかな。きみはあたしの帰りを待っていてくれなかったね。 あたしもきみを看取りたかった。見送りたかったよ。 13年間、一緒に過ごした大事な、愛しい愛しい大切な家族だから。
14歳。 長く生きた方かもしれない。 でも、もっと長く生きられたかもしれない、という思いが頭を過ぎる。
…だけど、もう、ブルーのところに逝きたかったんだよね。 ひとりきりは寂しかったんだよね。 ブルーが逝ってしまってからの2ヶ月間、きみはあたしたちを支えてくれた。 「初めてのペット・ロス」から救ってくれていた。 そんな、優しいきみだから。
今は静かにおやすみ。
もう、頑張らなくてもいいよ。 あたしたちはきみを送る術を知っているから。 もう、振り返らなくてもいいよ。 ちゃんと此処で、見送ってあげるから。
不甲斐ない飼い主でごめんね。 看取ってあげられなくてごめんね。 間に合わなくてごめんね。
でも、見守っていてね。 ブルーと2匹で、空の上から見守っていてね。
きみと過ごした13年間のかけがえのない日々を宝物にして、胸にしまうよ。
あたしたちの家族になってくれてありがとう。
さようなら。
■2004/09/10 (金) 01:52:34 なくしてしまったもの
なくしてしまったもの もう てにはいらないもの
なくしてしまったもの とても とても だいじだったはずのもの
なくしてしまったもの まだ みつかるだろうか
たいせつなもの めにみえないもの
こころにひびくもの
なくしてしまった なにか
知らないでいた方が幸せなこともある 知らないでいて不幸せなことだってある
他人の死は そんなものだと思う
その死を知らないでいた間は 平穏に日々は過ぎていったけれど その死を知った今は こころがざわついて 治まらない
いつだって 毎日 どこかで 他人の死は訪れていて 知るのも知らないのもあたしの情報能力次第で
ただ ただ やるせなくなる 悲しくて涙があふれてくる
ひとの死は
死は
いつだって どこだって 誰だって
静かに苦しさを生み 静かに悲しみを増す
いつかは誰の元にも平等に訪れる
それが少しでも他人に優しくあれば良いと
願い 祈り
夜が青く過ぎてゆく
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