日の想い
幸花



 高所恐怖症

私は高いところがことのほか嫌いである。
観覧車に乗ろうものならなにかにしがみついてでもいなければ
とても平静を保ってなどいられないほどに。
下を眺めると、
そのまま落ちていくという強迫観念が頭いっぱいに支配してくれる。

夢で落下する感覚を味わったことはあるだろうか。
それを高いところに上っているとつねに感じてしまうのである。

話はかわって。

オーケストラの話し合いの合宿のとき、私はひたすら議事録をうっていた。
3日間で約1万文字以上。
決まったことは誰よりも覚えている方だろう。

市民のオーケストラでは年に一回だけ、総会が行われる。
私は大学1年の時それに訳もわからぬままに参加した。
代表が議事録について克明に覚えていることに鮮明な驚きを感じていた。
一度話して決定した事項はもうそれで終わっているのだ。
変更がない限りにおいては。
何について話しをしたか代表は本当によく覚えていた。
私はそのことが印象に残りすぎていたのだろうか。

ここでの体験は非常に貴重でその後の私の行動を多いに支えてくれただろう。

なにせ議事録についてよく覚えることが出来たのだから。
決定したことは履行しなければ信用を失う。人がいなくなる。
生まれたての組織にとって、人がいなくなることは致命的だというのに。
決定事項を忘れるとはなんとのんきなのだろうか。
承認済みなのに。むしかえされるそのロスが惜しい。

いらいらするのに
それでもおしのけて私が上になろうとは出来ない自分に頭にくる。

そう、私は上に立つのではなく、それを補佐する任しか、できないのだ。
それが最も私に向いている立ち回り。
なにか、確固たるものが、足りない。
これだけは譲るまいという心構えが足りないのだろうか。
それとも1人立ちしていないということなのだろうか。

とにもかくにも、高いところは、いやなのだ。
いつか突き止めるべきなのだろうけれども。

2001年10月04日(木)
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