「硝子の月」
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「皆さんお揃いですのね」 屋敷に戻ってきたアンジュは、別段驚いた様子もなくにっこりと微笑んだ。 そして、剣の国の老王に優雅な礼をする。 「おいでを光栄に存じます」 「いやいや、先触れもなく留守中にお邪魔した不躾さ、容赦されたい」 老王は彼女の手を取り、軽く口付けた。 「『影王』様も、ようこそ」 「お邪魔しているよ、アンジュ」 こちらとはより親密に、頬に口付けを交わし合う。 ティオもグレンも、自分達とは育ちが違うと、感心とも呆れともつかない気持ちで改めて思う。
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