Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
「コン・ティキ」急いでシネコンにGO!
「コン・ティキ」を見に行ってきました! 皆様>急いでシネコンにGO!
映画館でこの映画ととても素晴らしい時間を共有してきたのですが、マイナーな内容なので予想通りお客が少ない。シネコンでこれだと2週目から小さな画面や音響のよくない上映室にまわされかねないのですが、この映画、大画面で大海原を目の前にし、船のきしむ音と波の音につつまれるのが醍醐味だと思います。 明日を逃すと大画面と良い音響を味わえない可能性が高くなりますので、ぜひ今週末のうちにシネコンにGO!
水平線に広がる雲、空と海をつなぐ稲光、そそり立つ波、ドルドラム…なめらかなどこまでも青い海面と無風。 船体のきしむ音、波の音。 ずいぶんと久しぶりにこの世界につつまれました。幸せでした。
映像と音の話ばかりしていますが、もちろんドラマも印象的です。
そもそも、ポリネシア人が南米大陸から来たという仮説を証明するために、いかだでペルーからポリネシアまで百日もかけて航海するなんて、ありえない!と思うではありませんか。 もちろん当時の人は誰もが常識的にそう考えました。でもハイエルダールは諦めなかった。どのような状況でも自分の仮説を信じていた。そこに自分と仲間たちの命がかかっている状況でも。 海上の極限状況で「信じろ」と言って皆をまとめるハイエルダールの気迫が凄い…シャクルトンのドラマのケネス・ブラナーがかぶります。
そのような厳しいドラマや激しい嵐とは対照的に、いかだ航海ならではの静かな時間もある。
6人の乗組員にはそれぞれにドラマがあり、このコンティキ号の航海は第二次大戦がまだ記憶に新しい頃の物語ですから、いかだの上で静かに語られる戦時中の話も忘れられません。
ほんとうに良い映画なんです。
でもシネコンは客の数だけで評価が決まってしまう世界だから、来週末に良い上映室を確保するのはかなり難しいと思う。 だから是非、今週のうちに見に行ってください。大画面と良い音響で楽しまれることを願います。
2013年06月29日(土)
映画「コン・ティキ」6月29日から公開
次の土曜日6月29日から、映画「コン・ティキ」が公開されます。 トール・ヘイエルダールのコン・ティキ号航海記を映画化してアカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされたノルウェー・イギリス・デンマーク合作映画です。
本来は見てからお勧めすべきですが、今回、上映館は比較的多いですが、シネコン中心なので、お客が少ないとすぐに上映縮小してしまう可能性があります。公開第一週にささっと行かれた方がいいんじゃないかと思って、一週間前にお勧めする次第です。
映画「コン・ティキ」公式サイト http://www.kontiki.jp/ 公開館については上記サイトの「劇場情報」参照のこと。
今年のアカデミー賞外国語映画賞は、「愛・アムール」が受賞したのですが、ノミネート5作品の他4編はこの「コン・ティキ」(ノルウェー)、「NO」(チリ)「魔女と呼ばれた少女」(カナダ)そして「ロイヤルアフェア・愛と欲望の王宮(デンマーク)。
最後の「ロイヤルアフェア」は1770-80年代のデンマーク王宮が舞台で、先日まで日本でも限定館で公開されていました。 1800年前後のデンマーク王宮は、アンソニー・フォレストのジャスティス艦長物語やロバート・チャロナーのオークショット・シリーズに登場することから小説を通して知っていたので、ちょっと興味があって、この映画見に行ったのですが、 主演のマッツ・ミケルセンにぐっさりやられました。この人、ハリウッド映画に出ると悪役が多いのだけど、今回の侍医役のような渋い役回りを演ずると微妙な芝居が見事ですね。そういえば彼は「キング・アーサー」のトリスタンだったのでした。
ただし、おそらく、ストーリーを優先させるために多少、史実をご都合主義に解釈している可能性があります。いや私もデンマーク史は知識ないのですが、パンフレットに解説を書いていらっしゃる北欧史の先生がちょっと解説に苦労していらっしゃるのが見えてしまうのと、見ていてなんだか大河ドラマ「篤姫」を思い出すストーリー展開が、この解釈には無理がある可能性あるなぁと思ってしまうのでした。 注)「篤姫」は「八重の桜」と比べるといろいろと無理な歴史解釈が…。
けれどもこの映画、画面は美しく、予想通り、コペンハーゲンの王宮の中はフランス等に比べると地味。 ヒロインの英国から嫁いだ王妃(英国王ジョージ3世の妹)が追放される城はクロンボー城で、城の城壁から冬のエレソン海峡(ここもよく海洋小説の舞台になりますね)がとても印象的です。 二番館などでご覧にある機会がありましたら、地味な映画ですがお勧めします。
2013年06月23日(日)
「アメイジング・グレイス」6月28日 NHKBS放映
ヨアン・グリフィスがウィリアム・ウィルバーフォース(1759-1833)を演じた映画「アメイジング・グレイス」が、2週間先になりますが、6月28日(金)夜にNHKBSのプレミアムシネマで放映されます。
6月28日(金)午後11:45〜午前1:44 BSプレミアム プレミアムシネマ 「アメイジング・グレイス」
ウィルバーフォースは、奴隷貿易廃止を推進した中心人物ですが、彼が活躍したのは、ちょうどフランス革命〜ナポレオン戦争の時代。まぁその、ヨアンがあの時代の衣装で波止場に立ってたりすると、ホーンブロワー・ファンとしてはちょっと夢見てしまうんですよね。
ま、そのような本筋をはずれた見方は脇に置いて、 ボライソー・シリーズなどを読んでいると、当時の海軍が奴隷貿易船の取締も行っていたことがわかり、英国の奴隷貿易廃止は、南北戦争とリンカーンに代表されるアメリカより50年早かったことに驚きますが、実際に商人の利害関係が絡む以上、奴隷貿易法の議会承認は本当に大変なことだったようです。 当時のイギリスはフランスと戦争をしている最中であったのだし、現代アメリカで、いろいろ事件が起こりながらも銃規制法が議会で否決される現状などを見ていると、奴隷貿易法が1807年に議会で可決されたのは奇跡のように見えます…がこれは奇跡ではなく長年の努力の結果なのだということが、この映画を見るとわかると思います。
この映画は2011年3月6日から1カ月、東京・銀座と大阪・梅田の各1箇所の単館上映され、関東はごぞんじの通り3月14日から電力不足で計画停電になってしまったため、実際に関東で映画館でご覧になれた方はかなり少なかったのではないかと思います。 良い映画なので、この機会にぜひお勧めです。
そうそう、この映画のアンダーソン監督がウィルバーフォース役にヨアンを選んだのは、「彼が良い声をしているから」だったのだそう。 ヨアンの歌うアメイジング・グレイスも聴きどころです。
2013年06月16日(日)
ポーツマスのメアリー・ローズ博物館、新装開館
英国ポーツマス市の海軍ドックヤードにある「メアリー・ローズ号博物館」が先週5月31日に、展示内容を深め、新装開館しました。 The new Mary Rose Museum - NOW OPEN! http://www.historicdockyard.co.uk/maryrose/
メアリー・ローズ号はヘンリー八世の旗艦でしたが、1545年にソレント海峡(ポーツマス沖、本土とワイト島の間の海峡)で沈没。 1971年に発見され、1982年に海底から引き上げられました。 20年ほど前に私がポーツマスの海軍博物館を訪れた時には、発掘遺跡あとのような感じで、ただ船の骨組みがガラス窓の向こうに展示されている博物館でしたが、今回はいろいろな工夫をこらし、テューダー朝当時の船乗りの生活などもわかりやすく展示された目に楽しい博物館になっているようです。
下記記事で博物館内部や展示内容の写真を詳しく見ることができます。 Inside the new Mary Rose museum http://www.telegraph.co.uk/travel/destinations/europe/uk/10071199/Inside-the-new-Mary-Rose-museum.html
新カティサーク・ミュージアムも展示内容がわかりやすく刷新されていますし、イギリスの海事博物館はさらに進化している、という感じです。
2013年06月09日(日)
コランタン号の航海 第二話更新
コランタン号の航海「フィドラーズ・グリーン」第二話が更新されています。 インドならではの展開になってきたようです。
コランタン号の航海「フィドラーズ・グリーン」 http://www.shinshokan.com/webwings/title05.html
上記ページから「最新話を読む」をクリック。
2013年06月02日(日)
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