非常に不思議な雰囲気と透明感で満たされている。 淡々と「戦争」は進むのだ。
最初の「貼り紙」を見て、勝手に「こういう展開じゃないの」と考えていたのを、 見事に裏返された。 まったく違う次元といえばいいだろうか。 あちこちであらすじを見て、もしかして「バカバカし系」なのだろうかと 思い込んでいたのだ!(恥 ミステリでもエンタメでもなく、純文学である… そんな高いところにあったのである。ああ。 (純文学苦手)
もし、もっと静かに落ち着いた環境で読むことができたなら、 戦争の音も、光も、気配も、もっとワタシの中に入り込んで来ただろう。 それほどまでに感覚的なストーリーゆえに、たぶんこの作品は賛否が分かれ、 読み手の考え方、価値観などによって感想のギャップが激しいのでは、 と思った。
結局何がいいたいの?と言う人も多いだろう。 「戦争」という非日常が日常にならなければ、気づかないのかもしれない。 それほどまでに、戦争は遠い世界で起きている。 登場人物たちは、どこかコミカルにも思えるが、やはり本物の「戦争」 なのだから、どこまでも生と死とが隣り合わせなのである。
「戦争は善か悪か」「賛成か反対か」というレベルを超えたところで、 本当の戦争は行われているのだ…などなど、いつになく真面目に 考えさせられた本だった。
ミステリ好き(解決とか結論がないと嫌な人)にはオススメしない。 |
2006年01月13日(金) |
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