再び見る。
再び見る。
藤山直美をはじめ、藤山直美を取巻く
芸達者な役者さんたち。
中村勘九郎(現・勘三郎)、岸辺一徳、
豊川悦司、佐藤浩市、國村隼、
渡辺美佐子、牧瀬里穂、大楠道代、内田春菊 等。
それぞれが絡み合うシーンはほとんどないんだけど
だからこそ?芸を競い合ってる感じがして
見ごたえがあったわー。
中村勘九郎が藤山直美を強姦するシーンなんて
言い方がナンだけどすごい豪華なとり合わせ。
人待ちでスマートに佇む豊川悦司の荷物を
思いっクソ蹴っ飛ばしていく藤山直美のシーンには
思わず爆笑してしまった。
どちらかというと女子が見て見ごたえのある映画なのかもー。
2008年05月27日(火) |
『用心棒』 『海と毒薬』 |
『用心棒』
シビレるってこういうことなんだ。
小腹で噛み締める可笑しさ。
体の芯から脱力してしまうような格好良さ。
もう本当にシビレた。
『海と毒薬』
熊井啓監督の『日本の黒い夏―冤罪―』を見て
奇をてらわない描写にとても好感を持った。
この作品も(重いテーマなので語弊がある言い方かもしれないが)
見終わった後に誠実さを感じて清々しい気持ちを持った。
熊井啓監督作品は、テーマが負の感情で曇ることなく
真正面から勇気を持って向きあわせてくれる感じだ。
(という思いがありつつ、この作品を見てから時間が経っている現在
全体的な印象が薄くなっていたことが自分で意外。)
2008年05月26日(月) |
『日露戦争勝利の秘史 敵中横断三百里』 『殺陣師段平』 |
『日露戦争勝利の秘史 敵中横断三百里』
1957年製作
森一生監督
黒澤明 小国英雄脚本
タイトルからして気乗りする感じじゃなかったんだけど
黒澤明監督が脚本を担当した作品なので見てみた。
おもしろいとは思ったけど、
「物語の展開ありき」的な作りが好きじゃなかった。
もしも黒澤明監督が監督をしていたら
違った作品になるだろうな、(当り前)と想像したり。
『殺陣師段平』
1962年製作
瑞穂春海監督
黒澤明脚本
先に見ていた『炎上』の市川雷蔵と中村鴈治郎コンビ、
この作品では全く違った関係性の役柄だったのでちょっとおどろいた。
思い較べながら見るのもおもしろかった。
市川雷蔵のセクシーさったらもう、魅力的な役者さんだ。
タイトルからイメージする重苦しさに気圧されて
見るまでにちょっと時間がかかった。
まだ三十代のはずの三船敏郎が、どこからどう見ても
初老の老人にしか見えない。凄い。上手いなあとうなった。(何様だ)
(現在黒澤明監督の監督作品を28作見たところなのだが)
私にどんなイメージが先行しようと、
私は絶対的に黒澤明監督の作品に「好き」という
感情を持つのだ、ということを実感してる。
異種格闘(柔道×ボクシング)に出場する柔道家に対し
姿三四郎が柔道は見世物ではないと嘆くシーンがあるんだけど
そのシーンを見て目から鱗の気分になった。
以前、テレビで貴乃花親方が、対戦する相手を尊重する意味など
横綱の品格について話しているのを聞いた時のことを思い出して
いまいちピンときていなかったのが、このシーンを見て
ちょっとわかった気分になったのだ。
闘志剥き出しのガッツポーズを表現したいのであれば
柔道や相撲である必要はないのだろな、と思った。
柔道を知らないこともあってか
よく分からないまま見流した感じがあるので
また見直したいと思う。
姿三四郎に決闘も申し込んできた兄弟、
個性的過ぎて恐面白かった。(ショッカーみたい)
黒澤明監督の初監督作品。
レンタルビデオ屋で見つからず
(なぜか続編の『續 姿三四郎』はあった)
丁度BS-NHKで放送があったので録画して見ることが出来た。
格闘的なことは全然分からないんだけど
この作品に描かれている柔道や先日見た『土俵祭』の相撲など
単にエンターテイメント(見世物)の範疇ではなく
「道」(精神道)なんだなということを感じさせてくれた。
最長版もあるみたいなのでそちらも見るつもり。
その後、ロシア(だったか)で紛失していたフィルムが見つかったのだそう。
物語として展開が速いというか、
切れ切れな感じがしたのはそのせいだったのかな。
柔道着姿の志村喬のシルエットがウルトラシリーズに出てくる
エレキングとオーバーラップして見えた。
印象的だった志村喬のたたずまい。
黒澤明監督が脚本を担当した1944年製作の作品。
相撲界で横綱を目指すヤンチャな若者(片岡千恵蔵)が、
師匠や兄弟子たちの中でもまれながら成長していく物語。
ほんのりした恋の話もあり。
ワイドショーでよく見聞きする(よきにつけ悪しきにつけ)相撲界事情、
何十年も前からちっとも変わってないんだなと
この作品からうかがい知ることができた。
相撲は嫌いじゃないけど知らない世界なので
珍しいものを見るような、新鮮な気持ちで
目をパチクリしながら見たかんじ。
DVDのパッケージの写真を見てあんまり気乗りしなかったんだけど
(お相撲さん姿の片岡千恵蔵が雄々しくポーズ)
想像してたよりおもしろかった。
2008年05月21日(水) |
『Little DJ 小さな恋の物語』 『転々』 |
半ば賭けの気分でレンタルした。
(NEWは高い)
終始不自然さを感じる映画だった。
お行儀の良い純粋無垢を思わせる男の子が
知らない人の家にズカズカ上がりこんでしまうとか、
トイレでおしっこしてる時に話しかけられて
手を洗わずにサッサと出てきてしまうとか、
(純粋さを醸し出してる男の子なのに変なギャップ感だ)
お母さん(西田尚美)が女の子に平手打ちを食らわすシーンは
ワシ的にはショッキングに思えたんだけど
その後何事もなかったかのような展開、等々。
最後になって登場する広末涼子さんの在り方も
何かバランスが変だと思った。
たぶん全体がちぐはぐしてるのだ。
諸々細かい事かもしれないけど、
細かいことが大事なんだなと改めて思う。
『転々』
三浦友和がオダギリジョーを誘う必然性が
よく分からなかった。
ワシ的には二人の気持ちがそんなに伝わってくる感じじゃなかった。
(評判良さげ?な映画みたいだけど)
深夜に放送される(東京紹介マップ的)ドラマだとしたら
「細かいことは横に置いといて」という感じで面白く見ると思う。
三木聡監督の『インザプール』(は好き)や
『亀は意外と速く泳ぐ』は嫌いじゃないんだけどな。
見ることに躊躇があった。
できるだけ先延ばしにしたいと思っていた作品だ。
レンタルビデオ屋さんのレンタル状況により
背中を押された形(?)で見た。
感情が激しく揺さぶられることを予感して避けていたのだと思う。
心に響くことは満たされると同時に苦しい、好きであることも苦しい。
多くのドラマや映画で扱われている生と死は
深く掘り下げて描かれているものが少ないと思う。
単に「感情の浄化」を求めているものも多いと思う。
(一概にそれが良くないことだとは思わないけど)
志村喬の胸に迫るたたずまい。
黒澤明監督作品はテーマ重視の表現ではないと思う。
黒澤明監督作品を見る前はもっと重苦しい
イメージを勝手に持っていた。
映像が感じさせてくれる。
堅固な構成の中に感覚的なものがいっぱい詰まってる。
(うー、うまく言えない。)
作品を見るほどに感情が揺さぶられる。
散歩して頭冷やしてこようかな。
戦国時代、人間の業に翻弄され、血で血を洗い、
城主に登り詰めた男の迷い、恐怖、壮絶。
森で老婆(妖怪)と出会うシーンの
何とも言い難い(深淵を湛えたと言おうか)映像の美しさ。
謀を囁く奥方の静寂の中に響く衣擦れの音。
描かれた人間像、映像表現の全てに気持ちがゆさぶられる。
余談。
後日、「ビーバップハイヒール」という関西ローカルの
深夜のバラエティ番組にたまたまチャンネルを合わせたら
平田オリザさんがゲスト出演していた。
何事?(畑違いの方がなぜ?)と思い見入ると
シェイクスピアの四大悲劇について
わかり易く解説する、という内容だった。
リア王はリア夫、オセローはオセ郎などに置き換えた
ドラマコント仕立て。(オモシロ過ぎ)
シェイクスピアのことをよく知らない私は、
この番組を見たことで初めて『蜘蛛巣城』が「マクベス」、
『乱』が「リア王」ということに気がついた。
「ビーバップハイヒール」見てよかった。
2008年05月13日(火) |
『一番美しく』 『羅生門』 |
『一番美しく』
物語は表向き「お国のため」という装訂だけど
(戦時下の検閲のせい?)
そこに軸はない。
むしろ制約が輝きを引き立てる道具になってると思う。
強く美しくしなやかな女子たち。
ふと『櫻の園』を思い出した。
どちらも心震える大好きな作品だ。
『羅生門』
光と影のコントラスト。
そして映画の中で初めて見る凄まじい豪雨のシーン。
物語のあらましより映像の印象が胸に強く残った。
今後見直すことで私的にもっと感じることが
できるようになる作品じゃないかと思う。
まだ見えるべきものがあるような気がするんだよなあ。
2008年05月11日(日) |
『さらば、わが愛 覇王別姫』 |
まだDVDレンタルが一般的ではない頃、
(つまりずいぶん前)ビデオで見てるのだけど
ふとDVDが目に留まって借りてみた。
最初に見た時の心を動かされた余韻が
身体に残っているつもりで見直したら
何だかとても薄っぺらい作品に見えてしまった。
気持ちの落差で余計そう思ってしまったのであって
良い作品の部類だと思う。
だけど自分が意外だったなあ。
時間のリトマス試験紙を試してみたら風化してたかんじ。
七人の侍たちが、どのように出会っていくのか
瞬きも惜しむ気持ちで見入った。
熱が駆け抜けて行った。
時間の止まった真空の中で浮かんでいるような
もう一人の自分が、物語とは別の場所で
あふれる気持ちの行き場を探している。
黒澤明監督の存在。
目の奥が熱い。
2008年05月09日(金) |
『悪い奴ほどよく眠る』 『どん底』 |
『悪い奴ほどよく眠る』
『ハムレット』が下敷きになった作品とのこと。
全くもって気づくことなく見入ることができた。(?)
この作品に限ったことじゃないのだけど
物語の中での三船敏郎に対するラストシーン
(退場の仕方と言えばいいのか、はけ方と言えばいいのか)
強烈な存在感の三船敏郎にことさらスポットをあてることなく
フェードアウトあるいは、バッサリ場面転換するところが
(演出と言えばいいのか、編集と言えばいいのか?)
すごく好きだ。
『どん底』
ゴーリキーの戯曲「どん底」が原作とのこと。
フィルムが古い?のと江戸時代?の聞いたことのない言い回しが重なって、
台詞が聞き取り辛くて日本語字幕をつけて見直した。
作品に見入るというより、まずは理解することに集中したかんじ。
エンターテイメントな趣ではないので、(舞台的)
私的には見直すほどにおもしろさを感じていくことが
出来る作品なのだろうと思う。(噛めば噛むほど・・・)
2008年05月08日(木) |
『酔いどれ天使』 『静かなる決闘』 |
黒澤作品を初めて見たのは、昨年の10月に
黒澤明監督が脚本を担当した『銀嶺の果て』だ。
監督作品としては、今年の3月に
『野良犬』『素晴らしき日曜日』『わが青春に悔なし』
の三作品を見たわけだけど、この時点ではまだ
黒澤明監督作品に心揺さぶられる感じじゃなかったのだ。
初めて見る黒澤明作品に対して「男性的なスケール感」
(私にとってはあまり良くないイメージや思い込み)を漠然と
持っていたのも要因のひとつだし、また
これらの黒澤明監督作品は、その後の黒澤作品の
真髄の萌芽を湛えた初期の作品だったので
黒澤作品に初めてふれる私にとっては
平静に見てしまうことができたのだ。
『野良犬』の三船敏郎にしても
(この時点で充分魅力的だとはいえ)
まだ開花前の姿だったと思うし。(その後心臓打ちぬかれまくり)
『酔いどれ天使』
映像の美しさ、三船敏郎の濃密な魅力と志村喬の深みのある存在感。
「浪花節な芝居はやめてくれ」 「日本人てやつはとかくくだらないことに身を捨てたがっていけねえ」
昭和24年製作の作品。何て軽やかなんだ。
『静かなる決闘』
三船敏郎演じる医者が、性欲を抑える苦しみを
ドラマティックに訴え語るラストシーン。
とても感動しながら、一方自分自身に
「可笑しいと思ったらアカン!」と言い聞かせながら見た。
千石規子さんって「おばあさん」のイメージしかなかったんだけど
魅力的な若女子だったんだな。(ちょっと西田尚美さんに似てた)
矢口史靖監督作品。(同タイトルの作品が他にもあったような)
銀行員の咲子(西田尚美)が銀行強盗犯に誘拐される。
その道中、車は大破し咲子と現金入りのスーツケースが
湖に投げ出される。咲子は大怪我を負いながらも
その後、湖底に沈んだ現金を手に入れるため邁進する。
・・・という、お金が大好きな女の子の話。
にちゃにちゃっとした2時間ドラマのような趣ではなく
「オシャレ」と「淡々」を足して2で割ったような雰囲気の作品だった。
(うー、うまく言えない)
すごくおもしろいとか琴線に触れるとかはなかったんけど、
コメディタッチで描かれた主人公の女の子の行動力がスゴイと思った。
(お金のためなら火の中水の中!みたいな)
何か考えさせられちゃった。
再々々々?度見た。
ウディ・アレン自身の匂いを消した作りに
セクシーさを感じるわ。
正統派の作りの中に、ひねりがあるところや
予定調和じゃないラストが好き。
当然、ウディ・アレンの演出の力なんだろうけど
役者さん達の役柄のはまり具合が小気味良い!
再々々々?度、見た。
2008年05月01日(木) |
『ヴェラ・ドレイク』 |
予告編を見ておもしろそうだったのでレンタルしてみた。
ヴェラ・ドレイクを演じたイメルダ・スタウントンという女優さんは、
いぶし銀のような魅力で良い感じだった。
(市原悦子さんとか樹木希林さんみたい)
この女優さんが魅力的だと思った一方、
ヴェラ・ドレイクの人物像に何か釈然としないものを感じてしまった。
善人さに軸足を置くんだったら
警察に摘発されようと何しようと腹の据わってる
人物じゃないと筋が通らないような気がするし、
また、深く考えず行動してしまう人物として見るには
人格者として描かれ過ぎていて、これもまた筋が通らないような。
テーマ的に、宗教観のあるなしで違った見方が出来るんだろうか?
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