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夏。 熱い。 ・・・確かに熱いのはわかる。 が。
いくらなんでもそれはないだろう、と2Dは目を覆った。
薄手の白いシャツに腕を通しただけの1Dが自分の指定席に座っていた。 男性用のトランクスが彼女にとっては短パンになっていて、シャツを羽織っているのはいいけれど、ボタンが止まっていなくて胸が丸見え。 そんな格好で、雑誌を読み、コーヒーを飲み、ストロベリーサンデーを食べる姿。 自覚がないって、恐ろしい。
「オイ、ダンテ」 「ん?」 「せめてボタンを・・・」 と、2Dが手を伸ばす。シャツのボタンを留めようとして、でも、止まったのは2Dの手だった。
ボタンがはまらない。 無理に寄せてボタンを留めようとすると。
「・・・痛いんですけど」 胸を押しつぶしてまったようだ。 「どうせ客なんか来ないんだからこのままでもいいだろ」 「───いいのか?」 「出かけるときくらいはちゃんと着るさ。でもこんだけ暑いんだから、ココにいる間はいいだろ」 ラフなかっこうでも許せよ、と言うが、ラフすぎるというのが彼女には分からないらしい。 せめて、胸を隠して欲しい。さらに言えば、ちゃんとしたズボンを。
「・・・でかけてくる」 「服なら買ってこなくていいぜ」 踵を返して颯爽と事務所から出て行こうとする2Dの行動を予想した1Dはそれを止めた。 「だって、そのうち戻るかもしんないし。女の服なんて着たくないし」 だからアンタのシャツ着てる。 そうは言っても、1Dも2Dも細身で、女性体になったからと言って胸が膨らんだ1Dには胸元だけが苦しくなってしまう。 もう一つ大きめのサイズを用意すればいいだろうかと考えつつ2Dはふと、1Dをまじまじと見た。
仮にも恋人で、女の体でシャツを着ている。
「・・・これが萌え、なのか・・・?」 と小さく呟いて1Dに歩み寄り、簡単にその身を抱き上げると変わりに椅子に座った。 「ちょ、なんだよ」 「その格好で許す代わりに、こうしていろ」 体位で言うなら正面座位。2Dの腰に跨るように座った1Dの胸元に2Dが唇を寄せて。
可愛らしい喘ぎ声が聞こえてくるまであと数分。
1Dが女の子になったと聞いて、服を提供しようかと訪れたレディとルシアが事務所に入れなかったのを彼らは知らない。
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