37.2℃の微熱
北端あおい



 『モスラ』を観ました

『モスラ』を観ました。

モスラはいいなぁ。
キングコングみたいに殺されたりしないから。
どんなに人間がやっつけようとがんばってもがんばっても死んだりしないんだよー。無敵で最強。

かみさまだったら、こんなふうに死なないかみさまがいい。
人間なんて、たちうちできないくらいつよいかみさまがいい。
文明なんて、けちょんけちょんにしてしまうくらいのかみさまがいい。

モスラには、人間のことばなんてつうじないの、それくらいてのとどかない存在のかみさまがいい。
人間があがいてもあがいても、関知しえないくらいの絶対不可侵の存在がいい。
かみさまだったら……そんなのがいい。

わたしがいきるこの世界には、もうたぶんかみさまはいない。
少なくともわたしが感知できうる世界に、それはほとんど顕れてはこない。
ときどきほんのかすかに痕跡がみつかるだけ。
「たぶん」「おそらく」「きっと」「かもしれない」。

それでもそういった言葉の周辺にわずかに残っているものをかきあつめて、
あったはずの、あるはずのものの原像を結びたい。


2006年02月23日(木)
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