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★短編小説18 - 2006年05月28日(日)




[フラッシュバック]

暫く学校には来ていなかった。
バスケを今でも続けてはいるものの、高校に行こうとはあまり思わなかった。
高校時代のバスケ部のメンツとは、よく飲みに行ったりするし、遊んだりもする。
だけど、この場所には行きたくないと思っていた。
後輩たちが「遊びに来てくださいよ。」なんて言ってたけど、一度も遊びに行ったことはない。
きっと、薄情なヤツだと思ってるに違いない。
だけど、この場所には、どうしても行きたくはない。
そう思ってた。


それなのに、今日はなんとなく。
本当になんとなく、学校の敷地に足を踏み入れた。
結局数歩進んで、すぐに後悔の波が襲ってきた。
学校の前に来るだけで。
校門を通るだけで。
嫌でも思い出す、アイツの記憶。

駐輪場で、アイツを待っていた時の事とか。
忘れ物して、校門の前で待たせた時の事とか。
廊下の暗闇に紛れて手繋いだ時の事とか。

どの場所にも、二人の思い出が嫌というほど詰まっていて。
あの頃のことを思い出すと、涙が出そうで。

来るんじゃなかったと、酷く後悔した。



あの頃の、アイツの体温も、匂いも、鮮明に思い出せる。




...

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