カフェの住人...

 

 

〜プロローグ〜 - 2003年06月15日(日)

私がここの住人になってから、まだそれほど月日は経っていない。

小高い場所の小さな森の中に、忘れかけていた一両の電車。

偶然出会ったのだが、直ぐに「ここは私の探していた場所だ」と感じた。

ボロボロになって眠っていたそいつに手をかけ

時間をかけて目を覚まさせた。それから私はいわゆる管理人で

一番初めの住人。



何故カフェかと言われれば、そこは何をしてもいい場所だからかもしれな

い。

ご飯を食べても、お茶しても、本を読んでもお喋りをしてもいいのだ。

そして、ただのカフェのつもりだが「ここがもう一つの住家」だと

気付いた人達が入ってくるという、さり気無く秘密のアジトになっている。

その引き寄せられる感じのせいか、周りの自然のせいでか、みな素の自分に

なってしまう。



ゆるりと流れる時間の中で、私はカウンター越に性別も年齢も肩書きも関係

ない住人らと、素の瞳の奥にあるその人にしかないドラマを垣間見る。

知らないけれど、知っているホンの少しの世界。そんな小さなお話を少し

紹介してみようと思う。



カラカラカラ・・・

「おかえり」

「ただいま」



また一人住人が帰ってきた。さて、今日はどんなドラマが見れるだろう


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